次亜塩素酸ナトリウム

1. はじめに

次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)は、強い酸化作用を持つ殺菌剤であり、食品工場・温浴施設・上下水道など幅広い分野で利用されています。

水研化学工業では、自社製造と品質管理体制により、安定性と安全性を兼ね備えた次亜塩素酸ナトリウムをお届けしています。

2. 基本情報

  • 名称:次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochlorite)
  • 別名:次亜塩素酸ソーダ、アンチホルミン(希釈溶液)
  • 化学式:NaClO
  • 性状:強アルカリ性水溶液

一般的な12%次亜塩素酸ナトリウムは、食塩11%、遊離アルカリ0.5〜1.2%を含みます。一方、低食塩タイプは食塩4%以下、遊離アルカリ0.3%であり、白濁トラブルの抑制処理水の安定性の面で有効です。

厨房用の漂白剤としても汎用されていますが、ゴマ(特に黒ゴマ)の漂白利用は禁止されています。これは、白ゴマとしての不正販売を防ぐためです。

3. 製造方法

次亜塩素酸ナトリウムは、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)と塩素ガスの反応によって製造されます。

2NaOH+Cl2→NaClO+H2O+NaCl2NaOH + Cl_2 → NaClO + H_2O + NaCl2NaOH+Cl2​→NaClO+H2​O+NaCl

当社では、食塩水の電解法により高品質の次亜塩素酸ナトリウムを安定的に製造しています。

4. 殺菌作用と科学的メカニズム

水溶液中での反応:

NaClO+H2O→NaOH+HClONaClO + H_2O → NaOH + HClONaClO+H2​O→NaOH+HClO HClO→ClO−+H+HClO → ClO^- + H^+HClO→ClO−+H+

この「次亜塩素酸(HClO)」こそが殺菌力の主役です。
pHが高くなるとClO⁻が増えて殺菌効果は低下し、逆にpHが低いとHClOが増えて効果が高まります。

  • 遊離残留塩素:HClOやClO⁻(強い殺菌効果)

  • 結合残留塩素:アンモニア化合物や有機物と反応して生成(クロラミン)

結合残留塩素は殺菌力は弱いものの、持続性と安定性に優れています。同一効果を得るには、遊離残留塩素の約25倍の濃度、または100倍の時間が必要です。

5. 利用と用途

  • 食品工場:殺菌洗浄水、器具洗浄、環境衛生
  • 温浴施設:浴槽水殺菌、ろ過循環設備
  • 上下水道:上水消毒(1890年代から世界的に利用)、下水処理(脱臭・酸化)
  • 家庭用:漂白剤(ただし一部食品への使用は禁止)

長所

  • 大量の水を効率的に消毒可能
  • 残留塩素の測定が簡便
  • 長距離配水系でも持続的な殺菌効果あり

課題点

  • 有効塩素濃度が短期間で減少
  • 塩素酸が短期間で上昇(詳細は技術資料参照)
  • フミン質等の有機物と反応してトリハロメタンなどの副生成物を生成
  • クリプトスポリジウムなど一部微生物への効果が限定的

6. 製品バリエーションと比較

製品名

有効塩素濃度

食塩濃度

用途例

荷姿

サニクロン

~12%

低食塩

浴槽水、排水殺菌、漂白等

バックインボックス、ポリ缶、ローリー等

サニクロンスーパー

~12%

超低食塩

食品工場、排水処理、殺菌等

バックインボックス、ポリ缶、ローリー等

7. 安全な取り扱いと保管

  • 遮光・密閉容器で冷暗所保管(20℃以下推奨)
  • 酸との混合は厳禁(有毒な塩素ガス発生)
  • 取り扱い時は保護具(手袋・ゴーグル等)を着用

※SDS(安全データシート)提供可能。詳しい取り扱いについては当社までお問い合わせください。